ハイブランドのバッグやランドセルが「型崩れしにくい」というところに着目し、製品として組み込むよう企画・設計を開始しました。生地や構造、材料の組み合わせとサイズの試行錯誤を繰り返したところ、人工皮革生地の張りだけで形を保つように上部を引き締め、シャープなラインの形状と現行サイズに辿り着きました。さらに樹脂製パイピングを採用し、鞄の面同士のつなぎ合わせの芯として張りを持たせ、型崩れしにくくしました。この構造により、形状を維持するためフラップの内側が潰れにくくなりました。なお、樹脂製パイピングは角の縁材として本体の摩耗を防ぐ役割も果たします。

この素案に元々蓄積している「３年間毎日使う」学校カバン基準の耐久性に優れた構造・材料・製法を加味し、安心して長く使えるデザインにまとめました。その代表例として、ランドセルらしいフラップやバックルを用いた前面に対し、背面は学校カバンとして実績のある可動式チェストベルト付きの背負いバンドを採用。これにより穴空き式のバンドに比べ細かな調整を可能とし、バンドに通すベルトも胴の横下側から伸ばし、高いフィット感を実現しました。このように「ランドセル」の見た目に「リュック」の機能性を組み合わせた実用的な製品になっています。

また、鞄の人工皮革生地に合わせる材料においてもナイロン製シートベルト織のテープや金属ファスナーなど高い質感と使用実績とを兼ね備えたものを選び、「大人向け」に相応しい組み合わせになっています。ビジネスからカジュアルまで広くマッチします。

もちろん鞄として基本である収納もタブレット端末用ウレタンポケット、パスケースを掛けるキーリング、ファスナー付きサイドポケットやＡ４サイズのファイルが収まるファスナーポケットなど充実しています。本体サイズは、29㎝(横幅)x40㎝(高さ)x14㎝(奥行)で約16ℓの容量です。

そして学校カバンで修理の多い背負いバンドの付け根や下側の腰ベルトは、「生地裏の補強シート貼り」・「金属鋲の打ち付け」・「重ね縫い」の学校カバンで実績を重ねた対策を施し「学校カバンの延長線上」の頑強さを誇っています。

その上で『学校カバンでできなかったこと』と『学校カバンでは敬遠されがち』を盛り込むのも「大人向け」の魅力です。人工皮革生地の選択の他にカラー内装の採用やフラップのヘリの縁縫いが学童向けとの差別化につながっています。